プログ(2016/12/31付け投稿)「機械設計」“2017年1月号(日刊工業新聞社)に
特別企画“実用化が期待されるリチウムイオンキャパシタの可能性を探る”
で紹介しましたリチウムイオンキャパシタを市販掃除ロボットに搭載した製作、実験例について
紹介します(詳細は、オーム社月刊誌「新電気」6月号に掲載予定)。

上記ブログで記載していますが、研究室で製作した
「Samwha社製リチウムイオンキャパシタ・モジュール」
を使用しました。
モジュールの基本仕様を表1に示します。

表1 Samwha社製リチウムイオンキャパシタ・モジュールの仕様
table_1

使用した市販掃除ロボットの仕様を表2に示します。
この掃除ロボットは付属のリチウムイオン電池モジュールを電源として稼働し、
充電は専用の充電スタンドを使用して充電します。

表2 掃除ロボットの仕様
table_2

掃除ロボットの駆動用直流モータの稼働時の駆動電流を測定したところ約1A(最大1.2A)でした。
したがって、DC12V用モータであれば最大約14.4W(DC12×1.2A)の消費電力であることがわかります。
充放電評価装置で、付属のリチウムイオン電池モジュール(LIBと呼称)と
製作したリチウムイオンキャパシタ(LICと呼称)の充放電特性を測定します。
それぞれの測定例を図1と図2に示します。電池容量が異なるので単純に比較することはできませんが、
リチウムイオンキャパシタの特徴をみることができます。
すなわち、放電特性では、LICの充電時間はLIBに比べると満充電に到達する充電時間は
極めて短い時間オーダになります。
充電時間が短いのはコンデンサの機能をもつリチウムイオン電池の特徴の一つです。
充電特性では、LICのLIBに比較して電池容量が小さいので、その分早く放電終了電圧に到達しますが、
放電特性を比較するとLIBはリチウムイオン電池特有の放電特性を示しますが、LICは直線状に変化します。

 
fig16
図1 LICとLIBの充電特性の比較

 

fig17(a)
図2 図2 LICとLIBの放電特性

 
次に、専用の充電スタンド(表示ランプで識別、充電中は赤色点滅、充電完了は青色点灯)で
充電時間の比較をします。LIBの場合は約6時間でしたが、LICの場合は約1時間でした。
この結果からもLICの充電特性の特徴をみることができます。
試作したSamwha社製リチウムイオンキャパシタ・モジュールを搭載した
掃除ロボットの充電スタンドによる充電の全景を図3に示します。
走行実験では連続運転時間は約10分でしたが、その後すぐに充電を開始し、
15分後に充電完了となったので再び走行実験(約10分間)をしました。
充電が早く行われたのであまり間をおかずに走行実験ができました(図4)。

 

fig18
図3 リチウムイオンキャパシタ・モジュールを搭載した掃除ロボット

 

図4 掃除ロボットの実験