機械系技術者が、リチウムイオン電池を知ることにより、次のようなことが期待されます。

(1)製造ラインまたは個々の製造機器の制御電源について、商用電源または動力電源との併用を検討することができる。これにより省エネルギーやスペース縮小化に繋げることができる。

(2)リチウムイオン電池で稼動できる移動可能な生産機器や治具を、既存の制約にとらわれず、あらたに設計製作することができる。

(3)製造ラインの検査機器や治具について、リチウムイオン電池を搭載することによって持ち回ることが可能となる小型、軽量化が計れ、充電可能なオリジナルな治具を設計製作することができる。

(4)リチウムイオン電池の特徴や機能を知ることにより、生産や製造に係る新たな発想の機械設計、機械製品の製作が可能となる。

(5)複数のリチウムイオン電池を組み合わせて、電池モジュールや電池スタックを構成し、工場内で移動可能な給電システムとして常設することができる。これにより、商用電源が使用できない場所でも、半田ごて、電動ドリルやハンディ旋盤、溶接機などの工作機械を使用することができる。

補充的なこととして、

(5)リチウムイオン電池の原理、構成を知るとこにより、電気、電子のメカニズム、電気工学や物理化学、材料の基礎に触れることができる。

 

本特集は、“機械系技術者に読んでいただきたい”というコンセプトでリチウムイオン電池の基礎から応用までをコンパクトに解説しました。トピックスでは、基礎または特徴的な内容や話題性を考慮していくつかの項目を取り上げました。

特集の各項目を以下に列記します。

1.リチウムイオン電池とはどのような電池

<トピックス>リチウムのやさしい物理化学

2.リチウムイオン電池はどのようにして製作するか

3.リチウムイオン電池を安全に使う-その1 充放電評価と内部抵抗評価

4.リチウムイオン電池を安全に使う-その2 プロテクタ機能と釘刺し試験

<トピックス>計算でみる釘刺し試験法のシミュレーション

5.リチウムイオン電池を使用した給電システムの設計製作

 

特集の第1章に掲載した写真の一部を以下に抜粋します。

リチウムイオン電池の例
写真1 リチウムイオン電池の例
(円筒型、ラミネート型、コイン型)

リチウムイオン電池スタック
(a)リチウムイオン電池スタック

ニッケル水素電池スタック
(b)ニッケル電池スタック

ニカド電池スタック
(c)ニカド電池スタック
写真2 研究室で製作した二次電池スタック
(複数の電池セルを直並列に構成、いずれも電池容量40Ah)

機械設計カバー_3
写真3 「機械設計」11月号(2015年)